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【企業型DC】企業型?個人型?確定拠出年金の基礎を解説

「人生100年時代」「老後2000万円問題」、そして昨今のインフレ傾向。私たちの将来を取り巻く金銭的な不安は、かつてないほど高まっています。また、2024年の新NISAのスタートに伴い、個人の資産形成への関心は急速に高まり、企業の福利厚生としての退職金制度にも関心が高まってきています。

「うちは中小企業だから退職金は難しい」 「従来からの退職金制度があるが、運用の負担が重い」

そうお考えの経営者様にこそ、知っていただきたいのが「企業型確定拠出年金(企業型DC)」です。 本コラムでは、企業型DCの導入支援を行う社会保険労務士の視点から、制度の基礎、iDeCo(個人型)との違い、そして企業・従業員双方にとってのメリット・デメリットを徹底解説します。

1. そもそも「確定拠出年金(DC)」とは?

日本の年金制度は、よく「3階建て」と言われます。 1階が「国民年金(基礎年金)」、2階が「厚生年金」。そして3階部分にあたるのが、企業や個人が上乗せで準備する私的年金です。確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)はこの3階部分にあたります。

従来、日本の退職金制度の主流は「確定給付企業年金(DB)」でした。これは「将来いくらもらえるか(給付額)」が約束されている代わりに、運用のリスクを企業が負うものです。運用成績が悪ければ、企業が目減りした資産の穴埋めをしなければならず、企業の財務を圧迫する要因となっていました。

対して、「確定拠出年金(DC)」は「いまいくら積み立てるか(拠出額)」を決める制度です。 毎月決まった額を積み立て、加入者自身(従業員)が運用商品を選んで資産を増やしていきます。将来受け取れる額は運用成績によって変わるため、運用のリスクは加入者(従業員)が負うことになります。

「リスクを従業員に押し付けるのか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。運用の成果が良ければ、それはすべて従業員のものになりますし、後述する優遇措置が用意されているため、現代の働き方に適した合理的な制度として急速に普及しています。

2. 「企業型DC」と「iDeCo(個人型DC)」の違い

ニュースなどでよく耳にする「iDeCo(イデコ)」も確定拠出年金の一種です。では、「企業型」と「個人型(iDeCo)」は何が違うのでしょうか?

① 企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業が福利厚生制度(退職金制度)として導入するものです。

  • 掛金の負担: 会社負担または従業員負担 ※制度設計次第で柔軟に選択できます。
  • 手数料: 口座管理手数料などは会社が負担します。
  • 加入対象: 導入企業の厚生年金加入者(役員も含むことができます)。
  • 掛金の上限: 月額55,000円 ※iDeCoより上限枠が大きく設定されています。

② 個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人が自らの意思で加入するものです。

  • 掛金の負担: 個人の財布から支払います。
  • 手数料: 加入時や毎月の手数料は個人が負担します。
  • 加入対象: 自営業者、公務員、専業主婦(夫)、企業年金のない会社員など、ほぼすべての人。
  • 掛金の上限: 職業や勤め先の年金状況により異なります(例:企業年金のない会社員は月額23,000円)。

従業員の視点に立つと、会社側で加入手続きを実施してもらえ、かつ手数料もかからない「企業型DC」の方が圧倒的に有利な仕組みと言えます。

3. なぜ中小企業で導入が進んでいるのか?(企業のメリット)

以前は大企業のものという印象があった企業型DCですが、現在は数名規模の中小企業や役員のみの法人企業でも導入が進んでいます。その理由は、経営上のメリットが非常に明確だからです。

① 掛金は非課税

会社が拠出する掛金は、非課税扱いとなります。税制面での負担を減らしつつ従業員の将来への貯蓄を支援できることになります。

② 社会保険料の適正化(選択制DCの場合)

中小企業におすすめするのは「選択制DC」という導入方法です。これは、今の給与の一部を「給与として受け取る」か「企業型DCの掛金として積み立てる」かを従業員が選択できる仕組みです。 掛金として積み立てた分は「給与」とはみなされないため、その分だけ標準報酬月額が下がり、会社負担・従業員負担双方の社会保険料が軽減される効果があります。

従業員だけではなく役員に対しても同様に適用されます。

③ 採用力強化と離職防止(リテンション)

「退職金制度あり」と求人票に記載できることは、採用面において大きな武器になります。また、企業型DCは転職時にも資産を持ち運べる(ポータビリティ)ため、中途採用市場の優秀な人材にとっても魅力的な制度です。「従業員のことを大切に考えている会社」というメッセージにもなります。

4. 従業員にとっての「3つのメリット」

従業員の方にとっても、企業型DCは手軽に資産形成に取り組めるツールとなりえます。

メリット1:掛金が非課税(所得税・住民税の軽減)

選択制DCなどで、給与の一部を掛金とした場合、その分は所得税や住民税の計算対象にならないとされています。

メリット2:運用益が全額非課税

通常、投資信託などの運用で利益が出ると、約20%の税金がかかります。しかし、DCでの運用益には税金がかかりません。利益がそのまま再投資されるため、資産形成の効果が最大限に活かされます。

メリット3:受け取り時も大きな控除

60歳以降に給付として受け取る際も優遇措置が用意されています。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となり、税金を非常に低く抑えられます。

5. 知っておくべき注意点とリスク

企業型DCは効果的な制度ですが、デメリットや注意点も必ず理解しておく必要があります。

① 原則60歳まで引き出せない

老後のための資産形成が目的なので、途中で積み立てた資金が必要になっても解約・引き出しはできません。仮に選択制DCを導入した場合、月々いくらを掛金として積み立てるか検討する際は、今後必要になるであろう教育資金や住宅資金とは分けて考える必要があります。

② 元本割れのリスク

積み立てた掛金は「運用」していくものですので、例えば「投資信託」などの運用商品を選択した場合、市場動向によっては資産が元本を下回る可能性があります。元本確保型商品を選ぶことも可能ですが、その場合もインフレリスク(現金の価値が目減りするリスク)にさらされることになります。

③ 投資教育の重要性

企業型DCを導入する企業には、従業員に対する「投資教育」の実施が義務付けられています(努力義務含む)。 従業員が仕組みを理解せず放置したままでは、資産が増えない可能性もあります。

実際に企業型DCを導入する際は、従業員説明会という形でこれらのメリット・デメリットを伝える場を設けることが一般的です。
企業型DCの導入をきっかけにして、従業員の金融リテラシー向上や、ライフプランの見直しを企業主導で実施できるということも、従業員の定着支援施策となりえます。

6. まとめ:導入は誰に依頼すべきか

企業型DCは、会社にとっては「福利厚生の充実」や「採用・定着力強化」「財務戦略」として、従業員にとっては「老後資金の確保」と「節税」という、双方にメリットがあるWin-Winの制度です。

導入の際は、企業型DCの導入支援を行っているコンサルタント企業や、社会保険労務士事務所、商工会議所などを経由することが一般的です。

上記の専門家に依頼することで、掛金の拠出方法(会社が負担するか、選択制とするか等)や、就業規則・賃金退職金規程の改定、厚生局への申請、従業員説明会の実施など一連の手続きを伴走してもらえます。

注意点として、提携している金融機関によっては、1社あたりの加入者数の下限が設定されている場合があります(最低加入者数15名以上 等)

弊所ではそういった加入者数の制限はありませんので、「加入者数1名」から制度導入をサポートすることが可能です。

「自社にはどのプランが合っているのか?」 「選択制DCを入れた場合のシミュレーションが見たい」

そうお考えの経営者様は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な制度設計と、導入後の定着まで、サポートいたします。

対応エリア:兵庫県三田市を中心に、宝塚市、西宮市、伊丹市、川西市、丹波篠山市、丹波市などの阪神間エリア、および神戸市の企業様をメインにサポートしています。オンラインツールを活用し全国対応もいたします。

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