050-6876-9278
平日10:00~18:00(土日祝休み)

「偽装請負」と「二重派遣」。人材派遣の現場に潜む違法リスクと対策

業務委託や人材派遣は便利な仕組みですが、「現場の実態」がズレていると、深刻なコンプライアンス違反につながる可能性があります。 現場が良かれと思って行った指示が、実は「偽装請負」「二重派遣」という違法行為になってしまうケースがあります。

今回は、この2つのリスクと、違法行為によって企業が負う責任について簡潔に解説します。

1. 「偽装請負」とは? 判断基準は「誰が指示を出しているか」

「偽装請負」とは、契約上は「業務委託(請負)」なのに、実態は「派遣」のように発注者がスタッフへ直接指示を出している状態です。

  • 派遣: 派遣先が、派遣されてきたスタッフに直接指示を出せる
  • 請負: 注文主は仕事の完成を頼むだけ。スタッフへの指示は請負(受託)業者が行う

▼ 偽装請負の判断基準 (昭和61年労働省告示第37号)は、以下の要件を満たさない場合、請負ではなく労働者派遣(偽装請負)とみなす基準を設けています。

1. 労務管理の独立性:業務の遂行方法、労働時間、服務規律、配置の決定などを、受託事業主が自ら管理・指示していること。
2. 業務処理の独立性:資金の調達、法的責任の負担、機械・設備の調達や専門的技術の提供などを、受託事業主が自らの責任で行っていること。

▼ ここがNGライン 現場でつい、「その作業、先にこっちをやって」と請負スタッフに声をかけていませんか? 発注者が直接指揮命令を行ってしまうと、それは「請負」ではなく「労働者派遣(偽装請負)」とみなされる可能性があります。

2. 「二重派遣」とは? 多重下請けで起こるリスク

「二重派遣」とは、受け入れた派遣スタッフを、さらに別の会社へ派遣してしまうこと(労働者供給事業)で、法律で厳しく禁止されています。

特に注意が必要なのが、建設、IT業界で見られるような多重構造(下請け・孫請け)のケースです。 例えば、「A社(派遣元) → B社(派遣先) → C社(実際の就業場所)」となっている場合。 C社の社員が、A社から派遣されてきた派遣スタッフに直接指示を出すと、間のB社は単に人を仲介しただけとなり、実質的な「二重派遣(違法な労働者供給)」とみなされるリスクがあります。

3. 違法に対する責任としての「労働契約申込みみなし制度」

違法状態(偽装請負や二重派遣など)を知りながら受け入れていた場合、企業には極めて重い責任が発生します。

派遣先(発注者)が、違法派遣(偽装請負や二重派遣を含む)であることを知りながら(あるいは善意無過失を除き)労働者を受け入れた場合、その違法行為が行われた時点において、派遣先がその労働者に対して「直接雇用の申込み(うちで社員になりませんか=直接雇用)をしたもの」とみなされます。

労働者側が承諾すれば、即座に雇用契約が成立してしまうため、予期せぬ人員増加や人件費負担を負うことになります。

4. 今すぐできる! 3つの現場チェック

リスク回避のため、契約書だけでなく現場の実態を確認しましょう。

  1. 業務指示ルートの確認: 請負スタッフへの指示は、必ず請負企業の「責任者」を通していますか?(直接指示はNG)
  2. 勤怠管理の確認: 発注者がタイムカードを管理したり、残業を命じたりしていませんか?(労務管理は請負業者の責任)
  3. 再委託先の把握: 現場にいるスタッフの雇用主はどこか、指揮命令系統がねじれていないか確認していますか?

まとめ

「偽装請負」は、現場の効率優先のコミュニケーションから悪意なく発生しやすい問題です。しかし、放置すれば企業名の公表や、意図しない直接雇用の義務化といった大きな代償を伴います。

「誰が雇用し、誰が指示を出すのか」。この原則を徹底することが、会社を守る第一歩です。判断に迷う場合は、複雑になる前に専門家へご相談ください。

コラム

PAGE TOP